第22章 200万円のスープ

夕方。

黒いベントレーの車内で、稲垣栄作の指先がリズムよくハンドルを叩いていた。

バックミラー越しに、助手席に静かに座っている高橋遥を睨んでいた。

今夜の彼女はとても輝いていた。彼が今まで見たことのない一面だった。宴会で、直感が彼に告げていた。

黒田直人の出現は高橋遥のためだと。

車が別荘の門前に到着すると、彼は横に置いてあったタバコの箱を取り出し、一本を唇に挟み、火を点けた。

薄い煙が漂い、稲垣栄作の黒い瞳は深く、高橋遥を優しく見つめていた。

黒い小さなドレスを身にまとい、香り立つ肩が微かに露出し、二本の美しい細い脚が白くて柔らかく見えていた。

特に美しかった。

以前から...

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